小石川植物園(2013春)

小石川植物園(2013春)

2013年の東京の桜の開花は非常に早く、満開の時期があっという間に来てしまった。

なので、満開の時期の写真を撮り損ねるかと思ったが、その後はどんよりとした天候が続き、花が散るペースも鈍ったようだ。おかげで、平日のある日、植物園でゆっくりと観ることができた。

桜の写真にはちょっと厳しい曇天だったが、他の花もけっこう咲いていて春真っ只中な雰囲気は十分であった。

とはいえ、まだ寒さは残るので、園内の売店のソフトクリームを食べるのはもう少し暖かくなってからにしようと思う。

小石川植物園(秋)

植物園で秋とくれば紅葉もみごと。

二列に並べられたイロハモミジの紅葉のトンネルをくぐるのも楽しいし、その外側の芝生に腰を下ろしてのんびり観賞するのも良いだろう。ここでは日の高いうちは葉に光を透かして、日が沈む頃には夕日に照らされる木全体を観るのがおすすめ。

他にも定番の銀杏、ドウダンツツジが見られるし、夏の間は素通りしていた名も知らない木の葉の色に驚いたりもする。すぐに名札を見て植物の名が分かるのは植物園の良いところ。ハンカチノキメグスリノキの人の手のひらのような淡い色合いがとても印象に残っている。

サルスベリ

小石川植物園(夏)

この日はじりじりと焼けるような暑さの午後三時すぎに園内に入った。日向ではじっとしていられず、すぐに日陰に逃げ込むが、吹いてくる風はけっこう涼しい。緑濃い桜の木の下で過ごす人たちもいる。

夏の植物園はあまり多くの花は咲いていないようす。見せるのが園の目的ではないこと、ほぼ自然のままであることと、多種多様な植物を少しずつ集めているからだろう。立秋も過ぎていてオミナエシも咲いているので、秋になりつつあるが、暑さはまだまだ夏。夏の花を探すとあったのはサルスベリ。日本庭園を見おろす斜面の緑の中でひときわ目立っていた。

桜の林

小石川植物園(春)

江戸時代からの歴史をもつ小石川植物園。

白山の隣である小石川の名を持ちながらも所在地は白山。「白山御殿跡」から「小石川御薬園」を経て今に至る土地の歴史が垣間見られる。

4月の良く晴れた平日。10人ほどが開園を待っていた。入って坂を上がると一角が桜の林となっている。ソメイヨシノが多いが、それだけでなく、さまざまな種類の桜を楽しめるのは植物園ならでは。もちろんツツジやヤマブキも咲いているし、イロハモミジの花が咲いていて陽が当たると遠目には紅葉のようにも見える。いろんな種類があるおかげで、おきまりの花や紅葉の季節以外の姿を気づかせてくれるのも楽しい。

ひとしきり桜の花を撮影して、庭園になっているほうへと下りていく。花が少ない時期にはそこで静かなひとときを過ごすのに良いところ。近所には印刷、製本関連の工場が多く、時折機械の音が聞こえてくるのも、むしろ静かさが強調された不思議な感覚になって面白い。